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Contents
#01 AIで“作れる”時代から、AIを“どう使うか”の時代へ
今号の3つの要点
- AIは 「作れるか」ではなく「どう使うか」 の段階へ
- 今号の企業には品質判断・ツール選定・事業接続を行う人材が必要
- 次世代をにらみ、 小さなPoCから始める重要度が増す
今月のAIニュース
今月の重要トピックを、 AIクリエイティブとビジネスの視点から整理。
01 Spotify Universal AI リミックス
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a997f89d8b3bed02c05450d84cd1cace8102bfc
IPは 「守る」から「限定解放して遊ばせる」 方向へ
公式の管理下でリミックスやカバーを楽しめる仕組みにより、 音楽だけでなくキャラクターIPにも広がる可能性があります。
02 Seedance 2.0 が映像を席巻
圧倒的性能の動画生成AIが、 事実上の1強に
複雑な動き、 群衆、 カメラワーク、 長尺表現まで 一気に実用圏へ。 「作れるか」 ではなく
「どう使うか」が問われる段階が、 さらに加速します。
03 AIクリエイターを「囲い込む」 動き
https://www.klab.com/jp/press/release/2026/0513/klabaiguild.html
https://crowdworks.co.jp/news/esgldv84l3k
大手企業でギルド化・ネットワーク化が加速
個々のクリエイターの発掘だけでなく、 制作体制や評価、 事業接続まで含めた仕組みづくりが重要になっています。
特集1:AIで“作れる”時代から、AIを“どう使うか”の時代へ
2026年4月、AIクリエイティブ の世界は大きく変わりました。
実写映画のような映像やアニメのような映像を作ることができるSeedance2(シーダンス2)。
ポスターや企画書のようなデザインを文字も含めて作成できるChatGPT Image2(チャットGPTイメージ2)
ゲームなどのプログラミングを瞬時に行うことができるChatGPT Codex(チャットGPTコーデックス)。
これらのAI により、これまで以上のひとつ上の次元の表現が誰でも簡単に使える環境が整い始めました。
誤解が多い点は、これらは常々のAIの進化のように、単にバージョンがひとつ上がったといった単純なことではありません。
そのどれもが次元の違う性能を持ち、これまでの常識をゼロから覆す力を持つ変革であるということです。
今号では、この変化について、3つの視点から深掘りしていきます。
なぜ、これらの AI がこれまでとはひとつ 次元が違うのかについては第1イシューで、
このことにより、どのようなビジネス的な変化が考えられるかを第2イシューで、
そして私たち人に求められる役割の変化について第3イシューで、特集しています。
イシュー1:AI の劇的進化。2026年4月に何が起こったのか
AI の画像制作や映像制作などにおいて、「ガチャ」という言葉を耳にすることも多かったと思います。
これは、AI にプロンプトで指示をしても、必ずしも思い通りのものが得られるとは限らず、まるでガチャを回すように運の要素が強いといったことを示していたものです。
しかしこの4月に登場した3つのAI はこれらを覆すものです。
まず映像分野のSeedance2では、それぞれのオブジェクトを別々に解析し独自の動作を割り付け最後に統合するという技術が用いられています。
これはマルチストリーム統合トランスフォーマーと呼ばれるもので、これまでのAI が「1枚の絵」を何枚も作りパラパラ漫画のようにつなぎ合わせていたのに対して、個々のオブジェクトを正確に把握しそれぞれを独立させて動かすことができるという点が大きな特徴です。
それはあたかも疑似的な3D空間を作り上げそこを撮影しているようなイメージです。
そのため何百人何千人といるライブ会場のようなシーンも破綻なく表現することができます。
しかも進化した推論モデルにより、プロンプトを忠実に理解するようになっています。
そのため、運の要素は大きく減り、意図した表現に近づける精度が大幅に上がりました。
これまでとは全く違う概念と仕組みを持ったものが登場したのです。
同じような変化は、画像生成AI である ChatGPT Image2においても訪れました。
ChatGPT Image2は、これまで AI が苦手としていた文字を正確に把握し、日本語を含む文字であっても正確に再現することができます。
これは一見ちょっとした変化ですが、これによるビジネスインパクトは非常に大きく、いわゆるポスターやチラシといったものから企画書のようなものまでChatGPT Image2 であれば丸ごと作成することができるようになりました。
さらにこのChatGPT Image2は、従来の画像生成の標準であったディフューザーという概念を超え、トランスフォーマーの仕組みを備えており、「推論」による画像生成を行うことができます。
そのため ChatGPT Image2の出力は非常に考え抜かれた1段階上の表現となっているのです。
3つ目のChatGPT Codexは、主にプログラミングに使用されるAI です。
プログラミングができるAI はこれまでもクロードコードなどを存在していましたが、ChatGPT Codexは上述の画像生成機能や、通常使っているような会話による推論機能などを備えている特徴があります。
そのため「面白いシューティングゲームを作って」といった曖昧な指示であっても画像や音楽も含めてChatGPT が作成し、ゲームを作成することができます。
これまではAI コーディングと言っても、細かいところは自身で考える必要があり、素材は自分で用意する必要がありました。
しかし ChatGPT Codexの登場により、曖昧な自然言語であっても、優秀なエンジニアのように独自の視点でアレンジしてくれるのです。
そしてここでは取り上げませんが、同4月にはClaude Mythos(クロードミュトス)という、政治的にも経済的にも話題となる最新鋭のAI も登場しています。
こうした変化が一度に訪れたのが2026年4月であり、その波及が徐々に私たちのところにまで及んできているのがまさに今この時であるということができます。
イシュー2:最新鋭のAI がビジネスにもたらすもの
これらのAI が、クリエイティブ及びビジネスシーンにどのような影響を及ぼすでしょうか。
まず第一にすでに影響が顕在化し始めているのが、前述したChatGPT Image2による画像生成です。
これまでであれば手書きやフリー素材などを使って見よう見まねで作っていたポスターなどを、全くデザインの経験がない方でも、見た目の良いポスターやチラシを作ることができるようになりました。
実際私の住む地域の店舗などでもこうしたAI生成のポップなどを当り前のように見るようになっています。
同様に映像においても、今や多くのCM やバナー広告などでAI が活用され始めています。
これまでであればAI を活用するにしても程度以上の品質のものを作るためには、それなりの技術と知識が必要でした。
しかしこのSeedance2の登場により、非常に多くの方に制作の門戸が開かれたと言えます。
今や「AIで作れる」技術は特別なものとは言えなくなりつつあります。
同様にプログラミングの部分でも、簡単なアプリやゲーム、ユーティリティソフトなどは自作できる時代がやってきました。
このような「AIで作れる」が誰でもできる状況が生まれていく中でクリエイターや経営者はどのような判断をすれば良いでしょうか。
イシュー3:最新AI 時代のクリエイターとビジネス
このような劇的な進化が起きている中で、クリエイターやビジネス環境はどのように変化していくでしょうか。
結論から申し上げると極めて性能の高いAI が次々と 登場していますが、
それらを「どう使うか」を導くためには一定以上の知識や経験が必要であり、逆に専門家のニーズは高まると私は見ています。
ひとつひとつ見ていきます。
まず画像の分野では「もはやデザイナーは不要である」といった論説も見受けられますが、ここでAI を使ってデザインを始めている方の多くは、従来デザインやデザイナーと無縁だった方が多いことに注目する必要があります。
多くの一般の方はデザイナーに依頼をしたこともなければ、有料の素材を買ったことなどもない場合がほとんどです。
あるとしてもイラスト屋のような無料素材を使うことや、パワーポイントなどに含まれている無料の図形を使うといった「デザイン」ではなかったでしょうか。
こうした一般の方が、それなりに整ったハイクオリティなデザインを手にすることができるということは、iPod が普及した結果、多くの人の耳が幼い頃から養われ歌が上手い人が増えるといったことに似て、文化水準を底上げする良いことではないかと私は考えます。
映像についても、これまで全く映像の経験がなかった方が、映画のような映像を作れることで全く新しい表現が生まれる可能性もあり、その芽はすでに出始めています。
これはゲーム開発やアプリケーションについても同じことです。
そしてビジネスベースで考えた時には違う側面も見えてきます。
こうした底上げがされた世界において、プロの本格的なデザインや映像はひときわ目を引くことになります。
プロのデザインや映像は、目に見えないところに非常に手間がかかっており、経験のない状態でそこにたどりつくことがなかなか難しい部分です。
ゲームを例に出すと分かりやすいのですが、なんとなく動くゲームは誰にでも作れるようになります。
しかしゲームの面白さというのはゲームバランスであったり、ほんの細かい動きの機微であったり、音と映像の同期であったり、不具合がないかどうかの確認であったりと、非常に細かい作業の連続です。
こうしたことを趣味の範囲でコツコツやれるだけの熱意は、よほどの好きな気持ちと時間とお金がないと続かず、その意味でチャンスは広がるもののプロと同レベルの作品を作ることはなかなか敷居の高い状況は変わらないように私は感じています。
またいわゆる大作と呼ばれるものは通常チーム制で100人規模のそれぞれ専門性を持つスタッフによって作られている場合がほとんどです。
AI 時代になっても、その道の専門家が集まって作るものは1段階違うものになるであろうと考えられます。
AI は指数関数的に進化を続け、現在は垂直に近いような状況に近づいていると言われています。
来年の今頃にはさらに考えもつかないような進化を遂げていることも予想され、逆に人間の持つ発想力や、最後までやり遂げる熱量、チームをまとめ上げるディレクション力などが試される状況になっていくと私は考えています。
特集2:AI 時代に必要なビジネス人材
AIによって大きく変わる世の中において、重要なのが「どのAI を使うか」といったミクロの視点ではなく、「AI をどう使って事業に反映させるか」というマクロの視点です。
このマクロな視点を持つ際に重要なのが、ディレクターの存在です。
ディレクターは日本語で言うと「監督」ですが、映画監督がいなければ映画が成り立たないようにあらゆる事業においても監督は極めて重要です。
監督とは、例えば映画を例にとると、俳優は自分がこれが良いと思う演技をする、カメラマンは自分が良いと思う映像を撮影する、衣装担当は自分が良いと思う衣装を持ってくる、これではまとまりがありません。
監督はこのシーンはこういう意味があるから君はこう動いてください、ここで衣装がその色なのは違います、といった明確な指示を与える役目です。
つまり監督は常に全体を見通して判断を行います。
個別のクリエイターは、自分の持ち分を担当しており職務を全うしていますが、逆に言えば全体を見渡して判断をしているわけではありません。
これを常に俯瞰して、全てのチームメンバーをコントロールするのが監督の役割です。
なぜ監督が必要か
AI は人と同じだからです。
AI は人と同じかそれ以上の知能と能力を持ったパートナーであると考えることが重要です。
その目線で見た時に、どのAI と、どの人と、どの専門家をどのように統合してチームにしていくか。そしてどのような戦術でどのような立ち回りをそれぞれに指示するか。
これが監督の役割です。
優秀な監督がいるサッカーチームが強いように、監督によってチームは見違えるように動き出します。
AI を単に使うだけでなく、ビジネスにつなげようと考える場合、
この 監督=「AI ディレクター」が非常に重要な役割になります。
AI 時代の監督「AI ディレクター」は、AI に関する知識や経験だけでなくクリエイターとしての経験や、ビジネスプロデューサーとしての経験なども求められるためです。
すなわち、技術の言葉・クリエイターの言葉・経営の言葉、全てがわかる人である必要があります。
海外では、AIを顧客の現場に実装するFDE(Forward Deployed Engineer) という職能が注目されています。
ただし、クリエイティブ・IP・広告・ゲーム要素まで横断する役割はまだ明確に定義されていません。
欧米の場合「エンジニア」とあるように、技術に寄った人が多いのですが、これは欧米ではビジネス自体がかなりスキーム化されており、エンジニアリングによって改善や調整がしやすいという背景があります。
逆に日本においては単に技術面から改善をしても、日本特有の商慣習やビジネス文化、マーケティング環境などに特殊性が高く、エンジニアリングだけで対応することは難しく、よりクリエイターに近いFDE が求められていると言えます。
ModeAI Studioでは、その日本型・クリエイティブ型の統合職能をFDCと呼んでいます。
AI をどのようにビジネスに活かすか、この大きな AI の流れをいかに事業の成功に結びつけるか。
その鍵を担うのがFDC です。
ModeAI Studioでは、AI制作サポート、AI Creative Direction、FDC Partnershipを提供しています。
「これAIでできますか?」という初期相談から、プロトタイプ制作、プロジェクト伴走まで対応可能です。
Case / Prototype :今月の映像
https://x.com/ModeAIStudioJP/status/2046788639380963579
当コーナーではAI を用いた、先進の映像を元にそのバックグラウンドと事業的な意味を解説していきます。
今月ご紹介するのは、カンフーの動きをするAI 映像です。
カンフーの動きというのは手を交差したり、のけぞったりなどAI にとって非常に難しい表現が連続するもののひとつです。
通常のAI であれば、これを実現することは極めて難しいものです。
当スタジオのワークフローでは、ゲーム開発に用いるアンリアルエンジンと最新のSeedance2を使用することにより、このような複雑な表現をAI で実現することができます。
この動きが実現できるということは、ブレイクダンスのようなダンスや、激しい戦闘シーンなども当然可能です。
特に見ていただきたいのは接地面で、足と地面の間の体重の乗り方、体の躍動と流れ、こうしたものは従来のCG では難しい表現のひとつで、もちろん実写での撮影も役者さんの能力に依存します。
この映像はAI ですから、どのような俳優さんであれ年配の方であれ同じ動きを再現することができます。
もちろんアイドルのような動き、シリアスな演技などどのような応用も可能な技術であり、工夫次第で多くの表現を試せる状態に近づいています。
Business Idea :ビジネスアイデア
特集に絡めたビジネスアイデアを紹介するコーナーです。
今号は「AIで“作れる”時代から、AIを“どう使うか”の時代へ」に絡めたアイデアをご紹介します。
・動くポスター
https://x.com/ModeAIStudioJP/status/2047514737265766788
この例では、背景は固定したまま人物のみが動くという新しいポスター表現を行っています。
一見静止画であるのに突然動き出すことは、ファンタジーの世界のような驚きを与え、SNSでの拡散などにも大変向いている表現です。
実際当スタジオで投稿したこの動画は2日で30万のアクセスとなりました。
またポスターが作れるということは、バナー広告にも応用ができるということを意味します。
ChatGPT Image2により、様々な表現がより簡単に実現できるようになったことはビジネスにおけるコストダウンやCVR 向上に大きく貢献する事を意味しています。
・ゲーム要素のあるCM動画
https://x.com/ModeAIStudioJP/status/2057706188310286554
ゲームが簡単に作れるということは、何も本格的なゲームを開発することだけに恩恵があるわけではありません。
単純にボタンを間違わずに押したら報酬が得られる、といったものでも十分なゲーム性を持っています。
この例は「リズムゲームとしても遊べるCM」という事例です。
マーケティングの視点で言うと、画面をゲームの形ですでにタップしているユーザーは、CTAボタンを押す心理的障壁が下がっており、CVR を高く見込むことができます。
またゲームをプレイしているので当然、滞在時間も長くなります。
CM 動画を見せることができる、CMソングを覚えてもらえる、長い滞在時間を実現する、高いCVRを実現する、このように新たな表現によりこれまでとは全く異なる効果を見込むことができます。
・画像による企画書
https://x.com/ModeAIStudioJP/status/2057702299817148798
このマガジン自体もパワーポイントなどではなくChatGPT image2 により作られています。
日本語の文字やレイアウトなどに全く破綻がないことがわかるかと思います。
このことはビジネスにおける企画書や報告書の常識が変わっていくことを意味します。
ChatGPT image2と今後登場するであろう後継AIは、パワーポイントの表現力を大きく上回り、且つ大きく時短を実現するためです。
パワーポイントの不得意なデザイン的な表現なども画像ですから自由自在です。
細かい文字の修正ができないと思われるかもしれませんが、そこもChatGPT に「ここの文字をこう変えて」と伝えるだけです。
この感覚はこれまでパワーポイントなど使っていた方にとっては逆に馴染みにくいかもしれませんが、「どのような画像であっても瞬時に作ることができる新しいAI」はビジネス分野にも新たな可能性を切り開くのです。
Editor’s Note :編集後記
#01では、「AIで“作れる”時代から、AIを“どう使うか”の時代へ」と題して、現在どのように生成AI の技術が進歩しているか、そしてそれはどのような意味を持つか、どのようにビジネスにつながっていくのかについて特集してきました。
もちろん他にも様々なことが同時並行で起こっており、音楽、マーケティング、EC、広告、IP事業など様々な分野にAI は影響を与えて来ています。
本マガジンでは、毎月ひとつのテーマに基づく特集と、その月に起きたAI ニュースを取り上げクリエイター目線とビジネス目線の双方から深掘りしていきます。
私、イリヤ杏樹は、もともとIT 上場企業のプロデューサーで、ゲームディレクターでもあります。そのためゲーム開発からWeb制作、広告、マーケティング、SNS 活用などを全方位に経験と知見を持っています。また1,000万人が訪れるサイトを運営していた経験から、全ての記事は私が執筆しています。
今のAI 時代は、私がかつて経験したIT の黎明期をはるかに上回る速度で動いています。
IT の黎明期でさえラットイヤーと言われものすごい速さだと噂されたものですが、その10倍と感じます。
そのような中で、どなたにも分かりやすく道標となるような、情報発信ができればと思いマガジンを創刊いたしました。
なお、マガジンの今月号及びバックナンバーは、以下の公式サイトで
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Published by ModeAI Studio / Edited by Iriya Anju
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